舌痛の原因と治療法

舌痛症の治療

 

冒頭でも少し触れましたが、今まで舌の痛みは口内炎などのキズや火傷などの何らかの刺激が原因で生じるもので、そんな刺激がないのに痛みを感じるのは異常と考えられてきました。

 

しかし、最近の脳科学では、脳は全く外からの刺激がなくても知覚経験を造るということが明らかになってきました。ここでは、このような痛みは中枢神経系の高次の部分である知覚回路を通る電気信号の流れの変化などで引き起こされる可能性を想定しています。

 

脳の機能的画像研究から、実際の患者で、健常者と比較すると前頭葉と後頭葉の血流低下が発見され、逆に視床や帯状回で血流増加となっているのが認められたというデータもあります。

 

こうしたことから、舌痛症では生物学的背景として、口腔内の感覚に関する高次脳機能の障害の影響が可能性として考察されているのです。

 

この舌痛症の治療ですが、決定的なものは無い状態で、基本的には、通常の消炎鎮痛剤や口内炎用の軟膏などでは気休め程度の効果しかなく、現在では有望な治療法として抗うつ薬を中心とした薬物療法が中心となっています。

 

これはSSRI、SNRI、TCA等の内服治療が中心で、既にかなり前から、舌痛症にはアミトリプチリン塩酸塩などの三環系抗うつ薬が有効だという事例もあるのです。最近ではうつ病の有無に関係なくこのような薬が鎮痛効果を持つとされています。